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池田理代子さんを読み倒す。(14)『ベルサイユのばら』

2005-12-07 (Wed) 23:33[ 編集 ]
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理代子先生の大傑作であり少女漫画の金字塔に立つ『ベルサイユのばら』。経済的効果・文化的功労の面から見てもその影響力は絶大です。週刊マーガレットに1972年(昭和47年)21号~73年52号に連載されましたが、連載中に画力が急激に飛躍し、理代子先生の持つ華麗で迫力のあるスタイルが完成しました。男装の麗人オスカルと麗しいロココの女王マリー・アントワネットの魅力は、連載が終了して30年以上経てもなお世界中の読者を引き付けて止みません。まともに語ると本が書けるほど長くなってしまいますので(笑)、簡単にではありますが書いてみます(^-^)

**あらすじ**
18世紀末。絶対王制の専制政治が行われていたフランスに、フランス・オーストリア同盟の架け橋としてオーストリアの皇女マリー・アントワネットが未来のフランス国王ルイ16世の元に嫁ぐ。若くして王妃となったアントワネットは国民の貧困には目も向けずに贅沢に明け暮れ、スウェーデンの青年フェルゼンと恋に落ちる。一方、代々王家に仕えるジャルジェ将軍家で軍人として育てられた末娘のオスカルは近衛連隊長として王室を護っていたが、平民の娘ロザリーや新聞記者ベルナールと交流するうちに王室に不満を持つ国民の現実を知る。近衛連隊長の地位を自ら退きフランス衛兵隊隊長に就任したオスカルは、一人の国民として、そして幼馴染のアンドレとの恋で女として目覚めていき、貴族としての身分を捨てて衛兵を率いて「自由・平等・博愛」の思想の元に革命の火蓋を切る。国王一家は捕らえられて王制廃止を余儀なくされ、国王と王妃は断頭台で処刑される。

大雑把すぎです(^-^;) もちろんこのおおまかな流れの中に様々なエピソードが盛り込まれ、フランス革命を背景に運命に翻弄された女性・マリーアントワネットと運命を自分から選び取った女性・オスカル、そしてフェルゼンやアンドレと言った様々な立場の男性の生き様を描いて行きます。特に革命前夜の三部会招集辺りからアントワネット処刑までの緊張感の持続は、この作品が少女漫画の域を超えて劇画としての確固たる地位を築くには充分です。あらすじをもう少し分かりやすく箇条書きにしてみましょう。

1. マリー・アントワネット政略結婚:皇太子妃と国王の愛人デュ・バリー夫人の対決
2. 首飾り事件:王妃の散財と不倫の恋・政治に対する国民の不満
3. 黒い騎士事件:近衛連隊長オスカルの思想の変化
4. オスカルの思想と愛への目覚め:混乱する政治・革命勃発
5. 王妃処刑:王制廃止後の国王一家の末路

構成としては大体こんな感じですね。連載が少女向け雑誌とあって、歴史背景を分かりやすく描くことや魅力的な架空のキャラやエピソードを絡める事は難しかったと思われますし、史実通りに描けない部分もあったかと思われますが、漫画として実に完成度が高く面白い作品として仕上がっていることは驚嘆に値します。
そして何よりも読み手の心を引き付けて離さないのは、二大ヒロインのオスカルとマリー・アントワネットの描かれ方です。
まずはマリー・アントワネット。オーストリアの女帝マリア・テレジアの末娘として気高い気質に産まれますが、14歳でフランスに輿入れしてからは女性として満たされない寂しさから遊戯や賭博に日々を費やすようになり、国の財産を使い果たしてしまいます。そのつけを第三身分(農民や商工人などの平民)への増税に回した政策は国民感情を煽り、果ては王制廃止・国王夫妻処刑に至るわけですが、こう書くとアントワネットは「稀代の悪女」という事になりますよね。しかしこの作品ではアントワネットは悪女ではなく、時代に翻弄された悲劇の王妃として描かれています。退屈な日々に出会ったスウェーデンの貴公子フェルゼンとの恋は許されないものながら清らかで、フェルゼンの進言によりアントワネットは民の上に立つ王妃として少しずつ目覚めて生きます。しかし時は既に遅く、絶対君主制から共和制へと革命を進める上で象徴的な出来事として行われたのが「国王と王妃の処刑」。つまりスケープゴートとしてのマリー・アントワネット像を、華やかに美しく描ききったのが池田理代子さんという作家なのです。理代子さん特有の「人間性善説」に基づいた観点から描かれた登場人物の最たる部分かと思われます。アントワネットへの不満の火付けとなった歴史に名高い「首飾り事件」の犯人ジャンヌ・バロアでさえ、理代子さんに掛かったら悪女一辺倒ではなく時代が生み出した悲しい女性として生き生きと魅力的に描かれるのです。
そして架空の軍人オスカル。きっとこの名前を知らない日本人はいないだろうと思われるほどの、有名すぎる男装の麗人にしてスーパーヒロイン。こちらはマリー・アントワネットとは対照的に、身分や称号、家・財産など自分が持ちうる全てを捨て去り、思想のために運命を自ら選び取った強靭な女性像が描かれています。金髪を風になびかせ美しい肌を軍服に包んだ凛々しいその姿は、漫画の中でも外でも少女達に大人気。この漫画の成功はオスカルの魅力無くしてあり得ないだろうと思われます。オスカルは将軍家の跡継ぎとして男として育てられるのですが、女性としての人生を選ぶという選択肢には彼女にはなく、フェルゼンに恋をした時でさえ女としての幸せを否定して気持ちを封印しました。そのオスカルがアンドレへの愛に目覚め、女性としての感情に目覚めていくくだりは実に感動的で、強いだけでない女性的なオスカルの魅力を感じさせられます。
対照的な二人のヒロイン以外にも、魅力的な人物が沢山います。例えばロザリー。彼女は「春風のよう」だとオスカルに言わしめる可憐な少女です。貧困からパリの街でオスカルに「私を買ってください」と声をかけたことが出会いの始まり。オスカルへの献身的な愛は激しい激動の時代の中での安らぎであり、また読者のオスカルへの気持ちを代弁する愛らしいキャラクターです。
そしてオスカルと結ばれる幼馴染のアンドレ。光り輝くオスカルに幼少の頃から影のように寄り添う彼は、実に出会いから30年近くもその感情を胸に秘め、男性の持つ優しさや大きさを体現しています。女伯爵オスカルと平民アンドレの身分違いの恋も、革命を彩る重要なエピソードです。
とりあえずキャラクターの魅力と言う点に絞って書いてみましたが、この作品の魅力を知るには読むのが一番早いですね。さぁ、お読みになって下さい!



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