スポンサーサイト

-------- (--) --:--[ 編集 ]
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

池田理代子さんを読み倒す。(17)『おにいさまへ・・・』

2005-12-18 (Sun) 02:40[ 編集 ]
シェアブログnatsukashiに投稿

NHKでアニメ化された理代子先生の中篇の最高傑作です。女子高を舞台に繰り広げられる美しくも悲しい愛憎劇で、この作品が描かれるまでにも語られてきた『少女同士の愛』『男装の麗人』『正妻の子と妾の子』といったキーワードがより華麗に激しさをもって絡み合い、独特の耽美的な世界を作り上げています。週刊マーガレットで1974年(昭和49年)12号~39号に連載されました。

**あらすじ**
奈々子が入学した女子高・青蘭学園には「ソロリティ」と呼ばれるエリート組織が存在した。毎年1年生から容姿・家柄・教養などで熾烈な争いで選ばれた10名だけが参加できるこの会に、至って平凡な奈々子がメンバーとして選ばれた。裏で取引があってのではないかと疑われ、少女達の世界の残酷さを知る奈々子。そんな奈々子が愛した上級生はハスキーボイスの持ち主・朝霞れい。どこか儚げで妖しい魅力を持つれいは下級生の憧れの的だが、彼女の心は生徒会長でソロリティの女王的存在の一の宮蕗子に囚われていた。そんなれいとは対照的に、れいの親友・折原薫はスポーツが得意で生命力に満ちていた。下級生の憧れをれいと共に一身に受けている薫だが、実は彼女の体には病魔が巣食っていて・・・。

この作品の魅力は何といっても個性的なキャラクターですね。絵柄も理代子ワールド全開で麗しくキラキラと光り輝いています。まずは主人公の「御園生奈々子」。至って平凡な容姿という設定ですが、めちゃくちゃ可愛いです(アニメ版ではちゃんと平凡に見えます(笑))。素直で優しく、自分の信じることにはちゃんと意見も言える実直さが災いして、同級生や上級生にあらぬ疑いをかけられて彼女の心は悲しみで満ちそうになりますが、そんな心の隙間に滑り込んできたのが「サン・ジュスト」(フランス革命時に「死の大天使」と呼ばれた青年)と異名を取る美しい「朝霞れい」。彼女を崇拝する下級生に囲まれていてもどこか寂しげで冷たい瞳に奈々子は魅かれます。そして奈々子の親友になる「信夫マリ子」。クレオパトラの様な華やかな美しさを持つマリ子はソロリティへの加入に強い執念を持ち、同じようにソロリティに入りたがる少女達と激しく火花を散らします。一見ワガママなマリ子の持つ気性の激しさや感情を隠せない正直さもとても魅力的。マリ子が心を寄せる「折原薫」はれいの親友で、背が高くて運動神経が良く面倒見もいいしっかり者。「薫の君」(「源氏物語」に登場する光源氏の子、薫の君)と呼ばれる人気者ですが、体を壊して入院し一年遅れて奈々子と同じクラスになります。薫はソロリティの候補に選ばれたものの、「ソロリティの存在自体に反対だから」と辞退します。そのソロリティの女王「一の宮蕗子」は気高く華やかでやはり女生徒達の憧れの存在。しかし実は蕗子とれいは腹違いの姉妹で、蕗子は妾の子であり彼女の気高さを愛するれいを翻弄し苦しめます。憧れていた学園での理想と現実の違いに苦しみながらも少しずつ大人になっていく奈々子は、その心情を「おにいさま」と慕う辺見武彦への手紙にしたためます。
こんな感じで全編に渡って「秘密の園」的女子高で少女達の愛憎が描かれるわけですが、憎み合う少女達の諍いが時に卑劣であっても、少女同士で「お姉さま」や「愛してる」の言葉が飛び交っても爽やかで清涼な印象なのはやはり理代子さんの技量ですね。ちょっとドキっとするような、蕗子が奈々子に迫るシーンや奈々子にれいがキスをするシーンもあったりするわけですがとても美しいです(何度も言いますが、私は異性愛者です^-^;)。
そして物語の一番の核となるテーマは、れいと薫の君の対照的な生き方に表されています。れいは蕗子との心中に失敗してから死ぬことだけを考え生きる気力が全くありませんが、余命僅かな薫は残された生を精一杯力強く生きています。儚げでせつないれいも魅力的ですが、残された日々を力強く生きる薫の光り輝くような人生は本当に美しいです。アニメ版ではれいは自殺ではなく事故死の設定になってしまい、この素晴らしいテーマが描かれていなかったので私としてはとっても不満(笑)しかしNHKはよくアニメ化しましたね(^-^;) 高校生が煙草を吸いまくりだし少女同士の危ないシーンもヒートアップしてるし、陰惨ないじめ、蕗子やマリ子の狂気じみた愛情、薫のなぜか野外で脱衣などの原作を越えた激しく濃いエピソードが満載。地上波での放送がないのは当然と言えば当然ですね(笑)
とりあえず間違いなく『ベルサイユのばら』『オルフェウスの窓』と並ぶ理代子先生の傑作作品ですので是非読んでみて下さい(^-^)



↓「楽天ブックス」にて送料無料で買えます♪
おにいさまへ…(1)  おにいさまへ…(2)

(携帯用)
おにいさまへ…(1) おにいさまへ…(2)

おにいさまへ

おにいさまへ…DVD-BOX1
おにいさまへ…DVD-BOX2

スポンサーサイト

コメント

うるうる・・・

れいさーん!
この感想を読んで感動が新たに蘇りました。
なんども、そうだそうだと思ったり
ああ、そう言うことだったんだ~~と
改めて納得したり、なんだか胸がいっぱいになります。
れいさんほど、たくさん池田作品を読んでるわけではないのですが、
やっぱり、「オル窓」「ベルばら」に次いで、
わたしが愛する池田作品です!!

こんにちは(^-^)

shrotさん、うるうるしていただいて嬉しいです(^-^)
「おにいさまへ」はアニメ化されただけあって、コアなファンの方が多いですよね。
私も大好きなのですが、HNの「れい」は朝霞れい様からいただいたものです(笑)
私は多分、出版されているものは全部読んでいるのですが
初期の貸本時代のものがないのが残念です~、、、

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://reigh23.blog24.fc2.com/tb.php/116-8daf3116

おにいさまへ…/池田理代子

おにいさまへ… 1 (1)池田 理代子 青蘭学園高等部に入学した奈々子はソロリティのメンバーに選ばれてしまう。そこから奈々子の高校生活は、意図せず嫉妬と羨望と姦計と陰謀の渦巻く

 | HOME | 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。