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池田理代子さんを読み倒す。(29)レディースコミック初期の短篇

2006-06-21 (Wed) 18:33[ 編集 ]
1981年に大作「オルフェウスの窓」の連載終了後、理代子先生は活躍の場を「YOU」「FORLADY」などのレディースコミックに移します。レディコミと言っても人前で読めないようなものではありません(^-^;) 理代子先生の漫画を読んで成長した少女たちが大人になり、恋愛や仕事、家庭での苦しみや葛藤を時には優しく、ときには辛辣に描かれる作品たちに共感し涙する。そして力を得たり何かをあきらめたり・・・。
少女漫画ではひたすら「夢と理想」が描かれましたが、レディースコミックではひたすら「現実」が描かれます。現実を深く掘り下げて本質を露にし、人間とは?女とは?人生とは?愛とは?・・・答えの出ない問題を様々な作品で読者は問われることになります。読み手が人間として成長するに連れ、理代子先生の成長とも向き合うことになりなんとも感慨深いですね。
以降の作品は、大人の女性を主人公に描く「レディースコミック」、そして歴史の本質を掘り下げて描く「歴史長編劇画」。どちらも理代子先生自身の人生を投影した力作ぞろいです。まずは短篇を紹介しますね。

○パラノイア(「FOR LADY」1981.№1創刊号掲載)
とみ子は学生の頃から夢ばかりを見ているような少女だった。地味な外見とは裏腹に、自分を取り巻く男性達に迷惑を掛けられていたり、皆に愛されていると自慢したり。しかし、彼女の思い込みは真実として彼女に宿っていて、そこから逸脱した男性を次々と窮地に追いやっていき・・・

とみ子は精神病院に入院し、その精神の闇を周囲にいた人々に医師が過去の出来事を聞くという形でお話は進みます。多かれ少なかれ人には思い込みと言うものがあり、特に女性にはその思い込みが強い人というのが男性よりもはるかに多いように思いますよね。しかしそういう精神の形成過程を辿っていくと幼児期の発育の段階に普通でない生活環境にあったことが多いとか。とみ子の場合も親に捨てられたという過去があり、心に負った傷が愛されたいという思いを異常な方向へと導いていったものと思われます。子供を育て方の大切さを実感させられる作品です。

○秋の華(「YOU」1981.№1掲載)
29歳の容子と23歳の大崎が恋に落ちる。離婚した容子に「結婚しよう」と言う大崎だが、容子は「年下のあなたに私の人生は背負えない」「老いは誰にでも平等にやってくるけど、6年の歳月には6年の差でやってくる」と告げ、二人は別れることに。そして8年が過ぎ、大崎の元に容子から「会いたい」と電話が来た。妊娠して体が思うように動かないためイラついてばかりの妻とつまらない家業にうんざりしていた大崎は、容子との楽しかった逢瀬を思い出す。しかし8年ぶりに姿を現した遥子は、二の腕がたるみ、腹の脂肪が目立つ女性になっていて・・・。

レディースコミックにはヒーロー・ヒロインは登場しません。主人公はいつも等身大の人間です。「秋の華」の場合、登場人物のだれもが小さな間違いを犯し、弱く、人生を後悔して生きています。大崎が最後に言うように「歳月は、ともに分け合えば老いの隙間など埋めていけるんだ」。それを若い頃に分からなかった二人の過ちが現在の二人の生活を招いているのでしょう。
個人的には「おろかな二人だな」と思ってしまいます。なぜなら、私のパートナーも6歳下ですから。年の差に関しては実際なんの心配も感じません。美しかった容子は37歳であの体型になってしまいましたが、子供を産んでいるわけではないので努力を怠らなければそうそうあの体型にはならないと思いますし。良い人生を送ってこなかったのだなと・・・。自分の人生と照らし合わせてこういう感想を持てるのも、レディースコミックならではですよね。

○ウェディング・ドレス(「YOU」1981.№5掲載)
お針子としてキャリアを積んできた徳子。少しずつ貯金をしてやっと純白の絹のレースを手に入れたとき、好きな人は去っていった。同じように自分でウェディングドレスを縫うという夢を持っていた後輩の美也子はその夢を叶える。その美也子の兄は30を過ぎた独身で、徳子は少なからず好意を持ったが、ある日彼の婚約者にドレスを縫ってほしいと依頼される。男性に好きと言われたこともなくミシンと向き合ってきた今までの人生を徳子はつまらなく思い、そのやるせなさをドレスの仕立てにぶつけてしまう・・・。

もし徳子が自分の積みあげてきた「キャリア」の大切さに気付くのが遅かったら、徳子の人生は最悪のものになっていたでしょうね。何の罪もない彼の婚約者に恥をかかせるために縫製を甘くした徳子。崩壊するのは花嫁でもドレスでもなく、徳子自身の大切な人生なのです。もう一歩の所で徳子はその大切さに気付きましたが、これからは培った信頼を大切にして、決して自分の人生をつまらないだけのものではないと思うはず。そんな一つの幸せの形に焦点を当てた秀作です。

○ウェールズの紅いバラ(女性週刊誌1981頃)
ダイアナ妃の誕生からチャールズ皇太子との結婚までを描いたご成婚記念の企画作品です。今は残念ながらダイアナ妃は亡き人となってしまいましたが、当時のダイアナフィーバーは凄かったです。そんな懐かしい時代を思い出せるドキュメンタリー。

【収録】
パラノイア:池田理代子短篇集(1)
秋の華:池田理代子短篇集(1)池田理代子the best「愛と闘う女たち」
ウェディングドレス:池田理代子短篇集(3)
ウェールズの紅いバラ:ウェディング・ドレス

レディコミ期の秀作が収められています
池田理代子THE BEST/愛と闘う女たち 池田理代子THE BEST/愛と闘う女たち
池田 理代子 (2001/12)
集英社

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コメント

こんばんはー。

このへんの作品は読んだことないです。
確かに、作品の内容が深いというか、
池田理代子さんの作品に対する思い入れが深いですよね。
絵のタッチもレディコミになってから、
変ったような気がするのは、私だけでしょうか???

こんにちは♪

Cottonさん、こんにちわ♪
絵のタッチ、ほんとに変わりましたよね。
そして人間模索に余念がなく書き込んでいるという感じで、私は結構この頃の絵も好きです。
少女漫画を読みなれているととっつきにくいかも知れないですが、機会があったら読んでみてください~(^-^)

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