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「君といた夏 〜アロッタ夏祭り2007〜」観劇記
2007-09-02 (Sun) 22:56[ 編集 ]
渋谷ギャラリー・ルデコで開催された、劇団アロッタファジャイナ番外公演「君といた夏 〜アロッタ夏祭り2007〜」を観てきました。
7種類の公演を6日間、学校の授業のように行うとかで
出来れば沢山の公演を見たかったのですが、
時間の許す限りという事で3種類・4件の公演を。
ちなみに観た公演は、
8/31(金)松枝組『農業少女』(満島ひかり主演)・9/1(土)安川組『恋。』
・松枝組『農業少女』(岡村麻純主演)・野木組『月落トのみなも』。
最初に言ってしまいますが、満島ひかりちゃん絶賛の感想になってます(^-^;)
彼女の演技はアロッタの公演『偽伝、樋口一葉』で観てその才能に驚かされたのですが、
今回はそれ以上に鮮烈な彼女の魅力を感じて、観終わって2日経つ今でも
かなり動揺しているほどで(笑)そんな事も踏まえての、順を追っての感想です。 (1)8/31(金)松枝組『農業少女』(満島ひかり主演)
九州の農家に生まれた少女・百子が農業を嫌って東京に出て来る話なのですが、
お話に関しては野田秀樹さん作のリメイクという事で感想は略。
驚くべきはやはり女優・満島ひかりちゃんの力でしょう。
なまりの強い素朴などこにでもいる少女が徐々に内に秘めた毒を溢れさせる様は、
彼女に翻弄される毒草研究科の山本ならずとも、観ている観客全員を虜にしたはず。
彼女の演技がどんなに凄いかと言うと、見えない物が見えて来る・・・
例えば、徐々に見開かれる目の先に東京行きの列車の大きな姿が見えてきて、
未来への希望や憧れ、大人になる前の未熟な身体で東京に行く事の危うさ、
そんな様々な予感がそのキラキラした瞳や華奢な四肢から溢れて来る。
そして彼女が腕をすっと上げてしなやかな指で田植えをする様は、
見た目には何も持っていない彼女の指先に青々とした苗が見え、
それは陽の光に照らされて黄金色に輝き、水滴が弧を描いて彼女の指を追う・・・。
目の前(場所が小さなギャラリーなので、本当にすぐ目の前なんです)の
そんな幻想的な田園風景に包まれてゾクゾクしながら、
心の中で「何だこのコは。凄すぎる」とずっと呟いていました。
そして彼女の放つエロス。
二つに縛っていた髪を解き、観客に背を向けて一つに結ぶ様や
白いブラウスと白いスカートを脱いでキャミソールとショートパンツになる仕草。
15歳の少女が、果たして無邪気に振舞っているだけなのか、
それとも大人を翻弄する為にわざとその欲望を掻きたてようとしているのか。
山本を上目使いで見たり、愛らしく貝の鳴くような声を出したり。
この小悪魔のような彼女の魅力に、まるで自分が山本になったかの様に動揺しました。
彼女に翻弄される、いい年をした真面目学者の山本が本当に哀れに思えて、
正直、自分が女である事にホッとしましたよ(笑)
(断っておきますが、私は超が付くほどのノーマルです。石垣佑磨君激ラヴです)
彼女の相手役をしている山本役の藤澤よしはるさん、
そしてこのお芝居に関わっている男性の皆さん。更に観客の皆さんに聞きたいのは、
「こんな演技を間近で見てて本気でひかりちゃんを好きになりませんか?」と。
私が男だったら多分、彼女に焦がれ死ぬでしょう。
こんなに魅力的で才能がある女性は他に見た事がありません。大尊敬です。
そして彼女が演技をしていると、共演の方々も皆輝きを増すんですよね。
まるでお芝居ではなく目の前でただ見ているように流れが自然。
そして何か柔らかで透明な粘着物に包まれているかのように四人が一体になっていて。
お芝居が終わってからもずっと心の高揚感が続いていて、
お留守番のYUKIからの「どうだった?」というメールに
「ヤバすぎる。エロ凄かった」と返信しました。
観客は男性の方が圧倒的に多かったですけど、
男性だとひかりちゃんは普通に恋愛対象だと思いますので、
私が感じたような「こんな感覚を持つヤバさ」はきっと感じないはず。
女で良かった、こんな感想が持てて良かったと思いました(笑)
なんかひかりちゃんへの絶賛ばかりですが、勿論演出も良かったですヨ。
シンプルな衣装やピストルと新聞だけの小道具・白い椅子、
そして照明や音楽の繊細な使い方も彼女と彼女を取り巻く役者さんや物語を
とても切なく、印象的に見せてくれました。
DVDにならないのが本当に残念な、素敵なお芝居でした(^-^)
※金子修介監督と野田秀樹さんが観にいらしてました。
(2)9/1(土)安川組『恋。』
アロッタの前公演『1999.9年の夏休み』で悠を演じた
ちょっと不思議な雰囲気の女の子、安川結花ちゃんのお芝居です。
恋に憧れ、恋に溺れ、恋に消える20歳の少女の心の在りようを
時には朗読のように、時には一人芝居で。そして相手役の男性も交えて
壊れやすいガラス細工のような繊細な演技で結花ちゃんが演じてくれました。
私にもそんな時期があったな、と昔の気持ちを思い出しながら観ていたら
いつの間にか自分の心と結花ちゃんの心とがシンクロして、
恋の相手と出会うシーンでは私にも彼が本当に素敵に見えて、
恋に陥るような錯覚に落ちました。(私の好みの男優さんではないのに(笑))
彼女の心境が本当に伝わってくるだけに、彼女が亡くなってしまったのは
ちょっと残念だったな・・・。死ななければならないとは思わなかったのですが、
そこはお芝居のストーリー、という事なのかも。
でも、目を閉じて唇が触れた瞬間の、あの甘やかな胸の疼き・・・
やはり観客は男性が多かったですが、この気持ちは分からないでしょう(笑)
女性に観てほしい、愛らしく爽やかなお芝居でした。
※私の後ろの席でイケメン俳優・森陽太君が観てました。
(3)9/1(土)松枝組『農業少女』(岡村麻純主演)
前日の満島ひかり版を観ていたので随分とハードルが高くなってしまいました。
決して良くなかったわけではないんですよ。一緒に観たYUKIは喜んでました。
でも、「エロかった?」と尋ねたら「いや」と。
岡村麻純ちゃんの演じた百子は、はつらつとしていて頭が良さそうで、
全て計算づくで大人を翻弄しているイケない少女と言う感じ。
ひかりちゃんの演じた純朴で天然な小悪魔に比べて、
その生意気さや目に宿る強さは、世間知らずの優等生が無茶しているっぽくて
少女の持つ危うさというよりは、少女を取り巻く都罪や、大阪弁の女(役名不明)、
そして人を喰うような街の欲望を際立たせる存在になっていたような気がします。
ひかり版百子は彼女自身も加害者だけど、麻純版百子はひたすら被害者。
内に秘める毒、移り変わるいくつもの表情を見せる百子の魅力は
ひかりちゃんの方が鮮烈で、私の胸にひとしひしと迫って来ました。
そして役者さん四人がそれぞれすごく頑張ってお芝居をしている、
という事はすごく良いことなのですが、同じ演技をしているはずなのに
藤澤さん演じる山本ヤマモトがあまり哀れに思えなかったんですよね。
前回感じた山本への共感は、正にひかりマジック。
今回はそれが無かったのですが、同じように比較して観た人の感想はどうなのか
是非聞いてみたい所です。
でも、美しかったですよ。
目の前に現実を突きつけられてポロポロと涙をこぼす麻純ちゃんの百子。
ああ、彼女には本当に声が聞こえてなかったんだな。
でもずっと都罪を待ち続けて目の前で彼の話す様を見た時に
全てを感じ取ったんだなって悲しくなってしまいました。
※今回は前日体調不良で降板したナカヤマミチコさんが大阪弁の女を演じてました。
前日の伊藤紗代さんの胡散臭さが満載の演技もすごく良かったのですが、
同時に「ナカヤマさんの演技で見てみたいな」と思いまして。
そして予想通りの大怪演。ダンスのシーンでは彼女に釘付けでした(笑)
あ、ボディショップの件では「葡萄」でいじっていただきありがとうございました。
観客席が近いと役者さんとの思わぬ接点があってすごく楽しいです。
※見てみたい、と言えば都罪を渡来敏之さんの演技で見てみたい、とも思いました。
(松崎裕さんの熱演も凄かったですけどね。私、某党員ですから(笑))
(4)9/1(土)野木組『月落トのみなも』
その渡来さんの弟子(?)野木太郎さんの作・演出の舞台です。
まず驚いたのは、お客さんの入り。てっきり『農業少女』が一番人気と思いきや、
後から入って来るわ来るわでみるみる内に客席が膨れ上がりました。
いやー、1Dayパス買っておいて良かった(^-^;)
感想は・・・うん、全体的に若い!良くも悪くも成熟感がなくて新鮮です。
月の下や海岸で繰り広げられる、人の死とそれを断ち切れない悲しみに満ちた
耽美的で幻想的なお話なのですけど、ちょっと物語に入りにくかったかな。
誰かに共感出来たり引きつけられることもないままお話が進んでしまい、
傍観者的な気持ちのままお芝居が終わってしまいました。
大切な人の死を受け入れる為のメッセージが伝わって来たのは良かったのですが、
テーマとモチーフが矢沢あいの名作『下弦の月』を彷彿とさせ・・・うーん。
あと、クライマックスのセリフの応酬の激しさですが、
そこに辿り着くまでに感情移入出来てなかったので辛かったです。
これは直前に達者な役者さん達の公演を見てしまったからか、
はたまたひかりちゃんに参っていたからか・・・。辛い感想ですみません。
※野木太郎さんが実は犬、と言う設定はウケました。
日頃から常々、犬っぽくて可愛いなと思っていたので(笑)
という事で、2日間。とても楽しく過ごせました。
YUKIに満島ひかりちゃんの演技を見せてあげられなかった事を非常に後悔しつつ、
アロッタファジャイナの皆様のこれからの飛翔を強く願っています。
辛い評価もそんな気持ちの表れですのでご容赦を(^-^;)
次回公演も楽しみにしています!
劇団アロッタファジャイナ 公式HP
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